運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ 感想

 どうも、ストゼロ2本でゲロるくらい酒の弱い大学生エロゲ―マーの希です。

 今回はこの

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という作品を書いていきます。

 僕は基本プレイしたエロゲの感想をえろすけやTwitterにあげるのですが今回はブログにまとめています。なぜかと言うとTwitterにあげるには説明しづらく不思議な作品だった点とこの作品の知名度を少しでもあげたいと考えた点、こうやって文字に書き起こすことで整理をつけたいと思ったからです。それではさっそく本編の方へ...

 

 Wikipediaに書いてあるこの作品のあらすじには

 「塔ノ山学院の転校生である主人公は、学園の運命を握る男としてうわさされた。 彼がただの人であると判明すると、噂はおさまっていくが、占い好きの少女たちは彼への興味を絶やさなかった。 主人公と彼の幼馴染である梨鈴は、運命研究部を作ってその少女たちをまとめ、未来を占ってみることにした。

と書いてあります。まずぶっちゃけるとこれあらすじというより物語の起承転まで言ってる状態です。しかもAmazonの方に書いてあるあらすじには「そんな展開あったか...?」と思わせることが書いてあります。この時点で大分整合性のない不思議な作品です。

 もう少し簡単に説明すると風水、タロットカード、神道(おみくじとか)、占星術といった占いをコンセプトに主人公とヒロインたちが直面する問題を時にオカルト方面で、時に科学的根拠を持って解決していく作品です。また主人公が高嶋運命(たかしまうんめい)という面白い名前をしておりそこから「運命とは何か?」を考える哲学ゲーでもあります。

 

 

悪かった点

・個別ルートが薄い

 この作品は、ヒロインの問題を解決→選択肢(このヒロインと結ばれるか?)→Yesなら個別ルート、Noなら次のヒロインの章へ...という形式(僕は途中下車式と呼んでいます。
穢翼のユースティアのタイプと言って分かるかな...?)をとっておりその個別ルートがとにかく薄い、時間にすると30分程度で終わるものとなっています。なのでHも告白も過程がお粗末ですしデートやファーストキスのイベントもなし、ヒロインが魅力的なだけにとても残念でした。

・細かい情報が少なすぎる

 この作品の総プレイ時間は10時間前後になっています。それだけに細かい心理描写がなく意図が汲み取りづらいキャラが出てきたりもっと掘り下げて説明してほしかった点が多くありました。これで元値9000円はぼったくりだね

それでも起承転結は纏まっているので一応スッキリとした展開にはなっています。

 

良かった点

・新しい知識がついた

 占いを題材にしていただけに風水の由来、タロットカードに込められた意味、占星術とはどんなものかといった占いの知識や違うところで生まれた占いでありながら意外な共通点があったり実は日常生活で使われてる言葉の語源が占いだったりと勉強になることが多くありました。

 

・面白い考えを知れた

 この作品の一番良かったところです。例を挙げると

 世界と自分を観ることで自分と世界が存在すると言える

 都合のいい時にだけ頼りまるで神様は人間のしもべでではないか

 世界とは歩いて行ける範囲のことである

 

 1番目はデカルトで有名な「我思う、故に我在り」みたいなことですね。2番目は普段神社に見向きもしないのに都合のいいときにだけ神頼みする大多数の日本人に向けた痛烈な一言で中々考えさせられました。そして一番刺さったのが3番目の言葉です。これは主人公が考えた「世界とは何か」の定義です。僕は今まで世界と言われても住んでる市や日本、海外、そんな漠然としたものでしか捉えていませんでした。しかしこの"歩いて行ける範囲"こそが世界なのではないかいうセリフを聞き地に足がついたというか抽象的だったものが形を帯びたというか、とにかく世界を捉えることができるようになったのです。

 この自分の価値観を変える展開があっただけにこの作品がただ短い適当なだけの作品だと言いづらくなりました。でも考え方が合わない人からは適当なゲームという評価を受けるのかも?

 BGMや主題歌はI'veが担当しており「占い」という作品の不思議な世界観に彼らが作る少しテクノチックな音たちは最高にマッチしており素晴らしかったですしCGもキレイですがシナリオはとても短い。もう少し占いや背景説明を入れるべきだし個別ルートは適当、しかし綺麗に纏まってはいる。しかも個人的に受け取ったメッセージ性は強烈なのでただ短いだけの浅い作品じゃない。こんなに説明しづらい作品は早々ないように思えます。

 

 以上がこの作品の感想です。他にも考察の要素が沢山あるので「ちょっと不思議な考察ゲーをしてみたい」「面白い切り口の作品に触れてみたい」と考えてる方にはオススメしてみたいですし値段も1000円きっておりプレイした人のデータも少ないのでちょっと穴場な1本です。